返校 言葉が消えた日
https://www.youtube.com/watch?v=ednRFDvm-gc
公開年 : 2021年7月(台湾公開 2019年)
製作会社 : 影一製作所, 販賣機電影
上映時間 : 102分
抑圧された時代の高校が舞台という、ザ・台湾映画。
というかゲームの開発者もホウ・シャオシェンやエドワード・ヤンに影響を受けたゲームであることを明言しているらしい。
映画化にあたりいろいろ語り口が変わっていて、ゲームではプレイを進めることで時代とか文化的な背景が明らかになってゆくつくりになっていたのに対して、映画ではそれらがイントロ的に説明されてから物語が展開されていてわかりやすい反面、ホラーというかショッキングさの演出であったり、物語を通して観客が何かに気づいていくような体験的にはインパクトが薄く感じてしまうかもしれない。
逆にゲームではただ生徒であるファン・レイシンと関係を持ったというテキストのみで想像せざるを得なかったチャン先生の人物像などのように、映画で生身の俳優が演じることによって、説明を重ねなくても掘り下げて伝わってくるようになっていたのは、ファン・レイシンが惹かれ、その結果ああいう行動に走ってしまったことへの説得力にもなっていてよかった。
台湾にせよ韓国にせよ、こういう負の歴史をはじめ、その国の社会が目指そうとするものや、守ろうとするものをきちんと共有し継承し続ける姿勢が、エンターテイメントのクオリティに即繋がる、と言ってしまうのは少し飛躍しすぎかも知れないけど、なんとなく表現の軸の強さになっているのだろうし、それはおそらく TOKYO2020 の開幕式で全くすっぽ抜けていたと言われているものなんじゃないかと観ながら思った。